怒りはエネルギー。 うちの家系のひとびとは、みな癇癪持ちだったりそうであったりした。要するに我が家族はあらゆる感情が灼熱のまま混ざり合った巨大な溶解炉を持っていて、中身はいつも煮えたぎっている。15年くらい前の実家では、一軒家の中に溶解炉が四…
食品加工場での仕事が見つかった。2日目を終えて、純粋な熟練のみを要する肉体労働の、快くも骨身に染みるような疲労を感じている。1ヶ月もの間働いていなかったこともあって、かなり身にこたえている。無職のまま日本に戻り福岡で酒に浸かり、山口でだらけ…
キャンモアで最後の休日だからって、何か特別な日というわけではない。山河をどれだけ見つめていようが目に焼きつくなんてことはあり得ない。 だからと言って書き終えた小説に手を入れたりするのはちょっと違う。バンクーバーへ向かう13時間のバスの車中、半…
自分の父親がこのブログに目を通すことを日々のルーティンの一つにしていることを察して以降、一切書く気がしなくなったこのブログを、あえて父のために書くことにする。 ただ、以前に何度も繰り返し懇願した通り、どうか読んだという報告や、会話の折に内容…
『虞美人草』を読み終えた。最初のうちはオーディオブックで聴いていただけだったのだが、あまりに面白くて途中からは活字で読んだ。創作期間中の読書はまさに宝探しである。その宝探しのツルハシの先が見事鉱脈を掘り当てたのである。並行してKindleで読ん…
昨日のこと。 休み希望を断られたので働いた。働けないほど体調が悪いわけではなかったのでさほど苦ではなかった。 Sは機嫌良く振る舞っていた。ぼくは誰よりも早く仕事を終えたので、とりあえずの体面を保つことができた。 仕事が終わり二階の自分の部屋に…
戸を叩く音で目を覚ました。この前朝に10杯もコーヒーを飲んで仕事を休んだマディが僕に大丈夫?とドア越しに呼びかける。要するに僕は寝坊した。15分くらいの遅れ。呼吸器や咽頭に違和感はなかったけれど具合が悪いということははっきりとわかった。まあそ…
今日は6時ごろに目が覚めた。昨日は休日だったのにも関わらず、まぶたは重く体は鉛のようだった。仕事が始まる少し前にキッチンで朝食を食った。牛乳とシリアル。食っているとマディが仕事着でキッチンにやって来た。仕事前に煙草とコーヒーを摂っていたら…
僕はアルバータ州キャンモアのモーテルでハウスキーパーの仕事をしながら、レストランでも週2日働いています。 長い日には朝9時から夜11時過ぎまで働いている日もあり、誰からも疲れてるよねと言われます。なんとか姉に金を返しつつ暮らしを立てないとい…
カナダに来て、そろそろ2ヶ月になります。転居や仕事でそれなりに忙しくしておりましたが、その間も暇さえあれば本を読むことを続けていました。不思議なことに日本にいる時よりもより楽しくより多くの本を読めています。ということで、この国での生活の合間…
7月10日(日) 今日の仕事開始は9時から。8時ごろ目が覚める。しばらくTといた。 ハウスキーピングの割り当て数はさほど多くなかった。オーディブルで河合淳『殿様は「明治」をどう生きたのか』を聴きながらのんびりと仕事をした。さほど多くを学び得なか…
僕らは死ぬ、そして誰もいなくなる。次世代の記憶の中にもしかしたなら少し残って、そして誰もいなくなる。だから、だから、だからこそ、僕たちは 遠慮なんかしている場合じゃない。 自由なんだ 自由ってなんだ 僕は知ってるよ
夏のカナダは22時に陽が沈む。 今ぼくがアルバータ州キャンモアに流れ着くまでのいろいろは省くが、ぼくは無事にカナダで暮らしている。そんなこと、なにも自慢げに語るようなことではない。じっさい、実家を出て福岡と東京で遊び回り、飛行機に乗り、バン…
いま、ぼくは再びSFにハマっている。そのきっかけとなったのは『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』だ。ディックの前に読んでいたのが『アデン・アラビア』で、カナダに旅立つ日が近づいてくるぼくの境遇や心境にわかりやすいほどマッチしていたから、こ…
2月が近くなってきて、少し寒さも和らいできた。屈まっていた魂も徐々に雪解けてゆくのを感じている。だからなのか、僕は再び夜眠らなくなった。 目の下のくまができる部分に終始重さを感じているが、これがまた心地よいのだ。 僕はこういった雑文に手を付…
冬は寒いからどうにもいけない。気取った口調で当たり前のことを言うのは馬鹿みたいだが、本音をそのまま表現した結果であるのだから仕方がない。 僕はこの冬なんにもしていない。そう、察しの良い方ははやくもお気づきであろうが、今回の僕は自分の怠惰さの…
バイトを終えて家へ帰る。 グループラインはぼく以外のメンバーで楽しそうに進行していく。 特に言いたいことはないから口を挟まないでいる。 カナダに行きたい気持ちがつのる。 塾講師のアルバイトは楽しい。全く稼ぎにならないけれど、働いて抑鬱的な気分…
苦しみがつのって耐えられなくなったら、ただちに前進することだ。(ヘルマンヘッセ『地獄は克服できる』岡田朝雄訳 草思社刊) 怖くなってきた 書かないでいることに 雑音と雑念が締まりのないジャムを奏でているまま画面に向かう、そんな状態でキーボード…
ただ生きているだけだと、死にたくなるのはなぜだろう。 庭に生えている花だってただ水を吸って日光を受けてぼさっと風に揺られているだけなのに、なぜか僕より充実してる。 暗い気持ちで玄関から出ると外は晴れていて、蝶が花の周囲をまとわりついていたり…
面倒なことを山積させている。 今夜一気にやっちまおう、今夜中に終わったら明日は一日中ふざけていよう、なんてことを考えていた。 バカだった。つい先日ぼくは『風の便り』に感銘を受けたと書いたばかりだというのに。 「これを一つ書いたら、当分威張って…
選挙のことだが、投票率ではなくて棄権率と呼ぶのはどうだろう。 投票しないことを選んでいるという意識が強まる。 自分も例外なく参加しているという意識が強まる。 ちなみに僕は今回の選挙を棄権する。 なんとも選べないのだ。だから僕は洞ヶ峠を決め込む…
ゲームするのをやめたぶん、余暇ができる。 ずっと眠ったりして意識を失っていることは不可能だ。それにぼくは酒が飲めない。 この時間を使って何をするかが未来の自分を作りだす。なので、僕はある文芸誌に詩を投稿することにした。プログラミングを学んだ…
いま、ぼくの怒りはゲームに向かっている。 正確には、ぼくの依存性にだけれど。 ぼくは10時間浸っている。ゲームに、スマホに、ネットの下らない掲示板に。 Wキーで前に進む。このとき、Shiftキーを同時に押していればAPゲージがなくなるまでの間はダッシュ…
この街のあらゆるもの、何もかもが模倣だった。わずかに挙げられるこの土地らしさといえば、強い陽射しで褪せたペンキと海からの潮風で腐食した鉄だけだった。僕はここへ帰ってきた。80年代アメリカ中西部の農家みたいな格好をして。それから僕は2日間、実家…
ジョン・ファンテと太宰治は同じ1909年の生まれだ。 僕が生まれる84年も前のことだ。そういう見方をすると僕と彼らの間にはなんとも言えぬ隔世の溝があるようだが、彼らの小説を読んでいる間は腕さえ伸ばせば一緒に肩を組めそうな距離に居るように感じられる…
ライター かちり か ちり へやのそと きこえてくる れっ島のうた ぼくは たいくつした よん足どうぶつのように からだを横たえて ライター かちり か ちり かわいた音 れっ島のうたに かきけされ 灯は だれにもしられず 燈るのです ほんのつかのま 叫びをあ…
食われるためか みられるためか わかりませんが わたしはここが しぬばしょです わたしはいつも ながめています くちをぱくぱく あけしめしては かべのむこうを ながめています ときどきだれか わたしをおって きがすんだらば しらぬかおして わらっています…
グーグルドキュメントを覗いていると大学三年の頃のレポートの草稿がでてきた。 これを当時から尊敬していた担当教授に見せて、内容はさておき、面白い言い回しをすると評価された。表現の盗用をしていないか確認されたことを覚えている。 それは、僕の見た…
チャールズ・ブコウスキーのdon't tryの意味を理解するには、セリーヌを知らなくちゃいけない。 ブコウスキーにとってセリーヌは重要な人物であることは間違いなく、ブコウスキーの遺作である『パルプ』にも実名で物語に登場し、主人公である探偵は死神の依…
25時21分。こうして僕は昼も夜もなく活動ができる。それはインフラのおかげ。 今は2連休のちょうど折り返し地点で、僕は眠気覚ましに風呂に入ってきたところだ。 一体何のために目を覚ましたのかというと、フランス語講座の宿題をするためだ。それなのにブロ…