宇宙をぶらぶら漂流中

時松功平です

退屈しのぎ

金曜日の代々木公園。

昼の陽光を遮る厚ぼったい雲の下、しゃあしゃあと緑の葉を茂らせた木々の間に白いテントが居並んでいる。

テントにはそれぞれ、通行人たちの注目を集めようと刺激するような色の幕が張られている。

その幕の1つには炎みたいな字体でこう書いてある。

〜日本唐揚協会からあげグランプリ連続金賞受賞大分中津からあげ〜

などなど。

さて、辺りの人通りはまばら。通路に面して食べ物を並べたテントの1つの中に僕は居る。パイプ椅子を出して、ぼってりと座り込んでいる。

左右のテントからは活気ある呼び込みの声が聞こえて来る。

そうこうしている僕の所にもお客さんはたまに食べ物を買いに寄って来る。木や石のような無表情を見せてしまった負い目から、急遽笑顔とへりくだった声色を作って帳尻を合わせる。その時の僕はイビツな怪物に見えるだろう。僕には僕がそう見える。

退屈は人を殺す。人生とは少しでもマシそうな何かで気を紛らわせるだけの旅だ。

地元よりも東京がいいし、東京よりもサンフランシスコやマラガの港町での暮らしが望ましく、どうせなら1人よりも気の合う誰かと暮らしたいし、できれば子供や犬や猫もいると良い。たったそれだけのこと。

自分が自分の願望を叶える為に、他人が都合よく行動してくれるかどうかに期待する事はあまり賢いとは言えない。

自分自身でさっさと欲しいものを取りに行ったほうが実は早いという事もある。

しかし、1人で考え事をしていると、出口がどれだけ先か分からない暗いトンネルを歩いているような気分になる。そのトンネルには時折車が通るのだが、息苦しく温いスモッグだけを吹き散らしてゆくだけで、その車は僕の視界からすぅぅんと去って行く。

1人で居たいが居たくない。他人の柔肌に触れていたい。そんなグラデーションのジレンマ。