宇宙をぶらぶら漂流中

時松功平です

public enemy is not equal my enemy

僕の敵をようやく見つけた。

僕の頭の中にはある人間が棲んでいる。いつもは身を潜めていて、時おり僕に呼びかけてくる。

そいつが現れる時、その姿形はいつも薄い靄に包まれていて、ある時には誰か知っている人のようだし、またある時は僕の生き写しのようにも思えるし、靄が濃くて声だけが聞こえてくる時もある。

姿形はまちまちなれど、僕に掛ける言葉はだいたい同じだ。

「お前、それは下らないよ」とか、「コイツ何言ってるか訳わかんねぇわ」とか、「お前、痛い奴だな」とか、「誰かを嫌な気持ちにさせてるんじゃない?」とか「気持ち悪いと思われるよ」とかそんな感じ。

そいつの存在に気づき、その言葉に僕が耳を傾けるようになったのは中学生の頃からだった。

その投げかけを忠告と捉え、従うことで、それなりに良好で広がりのある人間関係を築くことにも成功した。

だからこそその脳内人間は未だに強い発言力を持っている。

僕がtwitterで思ったことを書いたのち、すぐ消してしまうのも、その声が僕の脳内を瞬く間に反響し支配してしまうからである。

僕が原稿用紙や便箋に思ったことを書いたのち、すぐ消してしまうのも、その声が僕の五体に増幅した電流を流して、全身を固めてしまうからである。

それは安全装置の働きだと、僕の左頭上を飛び回る天使だと思っていた。

しかし、その安全装置は外してしまわないと、僕はジリ貧になって死ぬ。いずれ矛盾の混濁の中に取り込まれ、五体がばらばらになって死んじまう。

なぜか?

規範の中に入ろうと呼びかけるような作家やミュージシャンやその作品を、僕は好んだことがない。

そんだけ。