宇宙をぶらぶら漂流中

時松功平です

ぼくの全書物と平安、静謐と勉強

特等室が必要なのだ。

それはちょうどケルアックみたいに、タンジールへ行くユーゴスラヴィアの貨物船に用意された2人部屋なのか、それとも、陣馬山から多摩川へ注ぐ川の流れを南向きの窓から見下ろすことのできる静かなアパートなのか、山間にある温泉旅館や街中のビジネスホテルの一室なのか。他の人家から距離を置いた湖畔のトレーラーハウスなのか。

ぼくが孤独になるためには、一度これまでの繋がりから、己の身を切り離してみる必要がある。

ぼくはこれまで繋がりを頼りに生きてきた。ぼくはおちおち自分で死を選ぶことさえできないほど弱い男だ。

思い返せば、ぼくは幼稚園児だったころから、いつでも友達に付き添い、離別を異様なほどに嫌って生きてきた。

福岡の大学に行くことを決めたのだって、最も仲が良く好きだった友が福岡の学校に進学すると言ったからだ。

東京へ出てきたのも、多くの魅力ある友人が既に暮らしているという理由も大きい。

他人ありきだった。

だが、これ以上こうしてもおれまい。

自分自身の手で生きてゆく力を得、自分の思う通りの生活を送るため、欲しいものを誰かから与えられたのではなく己の手で勝ち取ったのだと信じられるようになるには、まずは特等席が必要だ。誰かの仕事をするのではなく、ぼく自身が果たすべき仕事だけをする聖域が。

ぼく自身が世界と向き合うためには、まずは今までぼくが浸かっていた世界から僕だけを引き上げなくちゃならない。

特等席に持ち込めるものは決して多くない。そこに残ったものだけで再出発を果たそう。

それから改めてみんなと出会い直そう。

ぼくとその場所を守るために、そして学ぶために必要な分の金を一所懸命に稼ぎ、好きを通す為には闘おう。

もしわざわざ遥々揚々と友が訪ねて来ることがあれば、きっとぼくは酒を飲みたいし、心解き放って朝まで語り明かしたい。その時金がないせいで充分に遊べなかったり、時間が足りなくて必要な学びや表現活動に遅れをとったりしないためにも、日頃から勉強や仕事を怠ることはできない。

要するに覚悟を決めよということである。

沢山の友が集まる居心地の良いシェアハウスを離れ、一人で暮らすことに決めた今日は、奇しくもぼくの誕生日。