宇宙をぶらぶら漂流中

時松功平です

とむらい

誰もいない暗い部屋の隅に佇んでいる、

幽霊のようだ。幽霊のようだ。幽霊のようだ。

もはや情熱はなく、若さもこの手からこぼれ落ちてしまった。

電車の車内に林立する人びとに紛れて立ち尽くす、

案山子のようだ。案山子のようだ。案山子のようだ。

合わさった背中の持ち主や、車窓の向こうに見える家々の営みの灯りについて何一つ永久に知ることもなく、私はただ運ばれてゆくだけ。

さっきまで会っていた人は記憶の中でもう朧げだ。

さっきまで会っていた人は私の存在を覚えているだろうか。

この先に進む意味があるだろうか。

この先を書く必要があるだろうか。

もはや情熱はなく、若さすらこの手からこぼれ落ちて消えてしまった。

二の足を踏み、立ち止まって辺りを猜疑の目で眺めているうちに、私はたちまち老け込んでしまった。

私は病気も怪我もせず事故や戦争に巻き込まれることもなく甘え腐って過ごしていたので、己の死を己の生をこれっぽっちも意識できないでいる。それは即ち、生きることすらできない亡霊なのであり、

誰もいない暗い部屋の隅に佇んでいる幽霊のようだ。

誰もいない暗い部屋の隅に佇んでいる幽霊のようだ。

誰もいない暗い部屋の隅に佇んでいる幽霊のようだ。

誰もいない暗い部屋の隅に佇んでいる幽霊のようだ。

誰もいない暗い部屋の隅に佇んでいる幽霊のようだ。

私は偽りの人間だ。造花は隠れるだけならば平気な顔をして花畑に混ざっていれば良いだろうが。蜜蜂や移ろう季節など本物の自然は、その生きる歓びから哀れな偽物だけを取り残して去ってゆくだろう。

電車の車内に林立する人びとに紛れて立ち尽くす案山子のようだ。案山子のようだ。案山子のようだ。案山子のようだ。案山子のようだ。

私は病気も怪我もせず事故や戦争に巻き込まれることもなく甘え腐って過ごしていたので、己の死を己の生をこれっぽっちも意識できないでいる。それは即ち、生きることすらできない亡霊なのである。