宇宙をぶらぶら漂流中

時松功平です

私が決して手に入れられないもの

憂鬱で脳味噌が溶けかかっている。

身体と心は萎びてしまって、さながら死を待つ老患者のように布団に釘付けになったまま何時間も過ごした。

ふと私が目を離した隙に、全く意味をなさない物質たちが部屋のあちこちに増殖していた。

テレビは私の思考を釘付けにし気力と時間をじわじわと吸い取る。食虫植物のように大口を開けて待っている。

私は部屋に取り囲まれている。私は取り囲まれている。囲まれている。

禁忌としていたはずのテレビを見て、ゲームをやり続けた。いつの間にか陽は沈んだ。私は苦しみもしないまま、気付けば溶けた蝿のペーストになっていた。

悲しいのだ。退屈で、途方もなく寂しい。

朝まで話をしていたい。それでも、一体誰と何を話せばいいのか?本当に語り合うべき話題は何もないことに気づく。

頭の中で葉が揺れた。川が音もなく流れる。浮かび上がる映像。私だけに見えるもの。それは幽霊。葉の幽霊を見た。通り過ぎて行った川の幽霊。

涙。ピアノの音色。傘のない世界。

私が生まれたとき、既に色んなものが死んでいた。理解するのには時間がかかった。遅すぎて、早すぎた。

パック入りの苺を踏み潰す。海を埋める。山を崩す。肺を埃でいっぱいに満たす。シンクの受け皿に溜まった濡れてぬめぬめした何かを舐める。皮膚が割れ、赤身の露出した指先。

私の命はどこにある。私の命はどこにある。