宇宙をぶらぶら漂流中

時松功平です

チクタクマンの執務室

人生の意味や歴史について、何かしら教訓めいたものを得たいのならば部屋の窓を閉め切って肺いっぱいに煙を溜め込んでから眠るといい。

翌朝目を覚ませば肺の底に煙は残って体内にゆらゆらゆらめいている。

ゆっくりと目を開けて紫煙の染み込んだこのガス室での繰り返される日常が続くみすぼらしい運命を受け入れはじめる。

時間は・・・

遅刻してしまう!

普段通りに支度をすれば月収から506.5円の損失と20分のただ働きだ。それに小言と失望と無数の陰口。人間はきっと馬鹿だ。

偉大なるお時間さまへのささやかな反抗の代償にしては、こいつはどうも割に合わない。急ぐ必要がある。

時間に追われ、起き抜けに走ったりすると、肺の中のこげ腐った煙が黒ずんだ肺胞を通り抜け血管に勢いよく吸い取られる。

すると純度の低い燃料を送り込まれた心臓が焦り脳は更に汚れあらゆる細胞たちが一斉に不平を垂れる。

視神経が接触不良を起こして両の瞳の眼差しは弱り、脊椎は我関せずと黙り込む。

いくつかの朝の儀式を省略し襟首に垢の層がたまったワイシャツを床から拾って自転車の鍵を探す。

やはりいつものように見つからない。敷布団やとっ散らかった服や鞄を蹴散らす。鍵はワイシャツの胸ポケットにあった。

ああ、時間が、時間が溶け出してゆく。時間は決して無に帰らない。

煙のように吸い取られ蓄積していく!!!