昨日は稽古だった。
僕の書いた話を僕の目の前で大の大人たちが演じている。
それだけでも奇妙な話だ。
少しでも良いものを作りたいし、最大限こだわったと言えるものを人様の前に提出したい。
赤字になるのは覚悟の上だが、はてさて、今後はどうなることやら。
稽古が終わり、稽古場の近くに住むW夫婦の家へ行った。
妻であるMさんが演劇の衣装を縫ったりしてくれているので、御礼がてらちょっとした手土産を持って。
が、それは建前。実際は彼らの幸福にあやかりたかった。2人は僕に限らず、周囲の人に多くの親切を与えることを喜びとしている。
行けばいつでも優しくしてくれる。この日も手作りのコロッケを揚げて食わせてくれた。
カポーティの『クリスマスの思い出』やディケンズの『クリスマスキャロル』のように、人間には楽しく温かい一面もあるのだと教えてくれる。
その分僕は不機嫌で、ケチで、無気力で臆病な人間であることを知らされる。
ああ。なんともまあ、なんともまあ。
その日は彼らに勧められるがままに彼らの家に泊まった。