宇宙をぶらぶら漂流中

時松功平です

楽屋の道化

 4月18日。日曜日。

 ここに日記を書くのは、日々の出来事を手帳に書くことが、むなしく思えてきたからだ。どうにも僕は人に緩く監視されている環境に居心地の良さを感じるようだ。カフェで物を書いたり公園や電車で読書をするときの緩さやさりげなさい存在感の温度がちょうどいい。高校の自習室のような冷淡な緊張感も好ましい。他者に干渉したりされたりすることはないが自分の姿をそれとなく他者に晒しているくらいが最もリラックスできるのかもしれない。日記もまた例外ではない。Twitterは過干渉だが、ここならば、どれだけ書いても人のタイムラインを埋めないので、手前勝手に振る舞えるから、ちょうどいい。といえども重要なことを何一つ隠さずに書くというのは難しいだろう。

  朝早く起きた。雨風は収まっていて、よく晴れていた。洗濯をしてから家を出た。今日は稽古に誘われていたので行きたかったが、仕事を代わってくれそうな人は皆出勤している日だった。気分は陰鬱。どうにもやる気が出ないので、やる気の出ないまま義務的に仕事を進めた。職場の別の売り場の新人が元アイドルの役者に似ていると聞いていたのでどこか期待していたが、見ればその母親くらいの年齢に見えた。こんなことしかモチベーションがない、くだらない人生を送っている。やがて昼勤のSさんが出てきて、開口一番業務的な確認をされうんざりしてしまった。僕ではなく相手方のミスで、その日のうちに無実だったことが明らかになったとはいえ、僕は根が臆病なので、自分の悪評につながるような話題には敏感で、慌てるし、苛立つ。挙げ句、そのまま売り場に2人で立っていて、どうにでもなれと、黙っていた。Sさんは飄々さを身に纏った明るい人なので、僕の不愉快そうな様子を気に留めない風に話しかけてくる。こちらから喋りかけないにせよ、返事をしない道理はないのでそれなりに会話をした。昼食は気分を変えようと、韓国料理屋に行った。さっさと食い終えると、会計の時に青い髪の女の子の店員が「お久しぶりですね」とカタカタな日本語で話しかけてくれた。休憩時間が余ったので、紀伊國屋に行って装苑を買った。前働いていた本屋以外で本を買うのは実に久しぶりだった。装苑バンクーバーに住む姉に買って送るよう頼まれていたものだ。残り時間はそれを読んで過ごした。そのうち、ある程度気分は持ち直したものの、どことなく居心地が悪い思いを持ち続けている。僕は居心地の悪い居場所では完全に拗ねてしまうか思い切って道化に徹する。道化に徹してふざけていると興に乗り始めて自分も楽しくなってくるのだが、その頃合いで必ず水を差されるので人生はうまくいかない。ここまで書いてきて、自分の労働者としての不適合さがありありと浮き彫りになる。アイドル云々の所でも分かるように、性格も悪い。まあ、これは周知の事実だろうが。