宇宙をぶらぶら漂流中

時松功平です

行け行け行けと鳥は言う

いま、ぼくは再びSFにハマっている。そのきっかけとなったのは『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』だ。ディックの前に読んでいたのが『アデン・アラビア』で、カナダに旅立つ日が近づいてくるぼくの境遇や心境にわかりやすいほどマッチしていたから、このまま『路上』や『夜の果てへの旅』などを読み返すだろうなと思っていたのだけれど意外にも今手元にあるのは『危険なヴィジョン』だ。『パーマー・エルドリッチ』はもう少し日を置いてからまた読み返すつもりだ。彼の長編は再読するごとに新たな気付きとさらなる没入が必ずもたらされる。一度だけではなかなか明白にこの面白さを説明できない。言語によるトリップ感の表現に酔いつつも、うまくいかなかった過去の結婚に執心している未来予知能力者の孤独に心当たりがあったり、日常現実の辛さや退屈からの逃避とその手段を提供して富む大企業、化学による人間の進化と選民思想、現にいまも目指されている地球以外の惑星への重工業の移転、いまこうして思い出してみるだけても面白い要素はたくさんある。思い出そうとうんうん考えているうちに、そもそも何の話をしたかったのか忘れてしまった。この馬鹿め。ともかく、これだけは面白い小説に出会える喜びは心に空虚の穴も開ける。

もうカナダへ行こうと思えば明日にだって発てるのに、実際の出発はあと2ヶ月も先のことだ。もちろん、そのブランクをただの空白にしてはいけない。成田の保安検査場を通る前に英語をどれだけ詰め込めるのかは、その後の一年を大きく左右することになるだろうし、これまでのあらゆる保留にもケリをつけておきたい。タブをいくつも開いたまま放置しているとpcのパフォーマンスは落ちる。やるやると言いつついつまでも腰を上げないあの苦味をぼくはもう二度と味わいたくはないのだ。そして今こうして再び日々の所感を書くことにしたことも渡加に向けた準備の一つだ。

youtube太宰治に関するNHKの番組を観た。ぼくは彼のように仕事熱心になれるのだろうか?それほどに書くことが好きなのだろうか?