宇宙をぶらぶら漂流中

時松功平です

流転しつつも目は開き

 食品加工場での仕事が見つかった。2日目を終えて、純粋な熟練のみを要する肉体労働の、快くも骨身に染みるような疲労を感じている。1ヶ月もの間働いていなかったこともあって、かなり身にこたえている。無職のまま日本に戻り福岡で酒に浸かり、山口でだらけ切り、東京でもまた、酒で赤らみ呆けた顔を昼夜ともなくぶら下げていた。カナダに戻ってからも似たようなものだった。気が向けば散歩はしたがカーテンを閉め切った暗い部屋で本ばかり読んでいたので身体中にカビが生えてしまっていた。それらの日々とこの2日間とを比べると、1日の長さは違う。まるで飛脚と新幹線だ。洗濯物も溜まり始めたし、読める本の文量がかなり減った。鉄工所で働いていた頃のように仕事に慣れて上手く両者のバランスを取れれば御の字なのだが、あれは実家で暮らしていたからこそ家事の大半を免除されていたといいう恩恵があった。ともかく先のことはわからない。古い小さな加工場に閉じこもって幾度となく繰り返しの作業をする、地味な仕事だ。浮ついていなくて素敵な仕事だ。僕が人生を手で掴むために必要な類いの仕事だ。異言語圏の島からやってきた移民の労働者である僕がようやく大陸での暮らしに足を踏み入れることが許されたのだ。とにかくいま僕は懸命に生きている。とにかく働いてさえいれば確実に金は入ってくる。懸命に生きた自分の経験を理解するためのものとして芸術を活用するというやり方でなければ、僕の作りたい作品は作れないだろう。だから、まずは懸命に生きるのだ。真面目に生きなければいけない。それは僕がずっと恐れていたことだ